今、思うこと

 年が明け、1月2月は異常なほどの出張続きで、週末家にいることの方が少なかった。
いきおい、真冬の素敵な海で小舟に乗って漂うことは叶わずじまいだった。


 そうこうするうち、あの信じられないような大震災が東日本を襲った。3月11日午後、
尋常でない大地震が起きたという知らせを職場で耳にした僕は、多数の同僚達と共に
大型テレビの前に釘付けとなった。


 誤解を恐れずに言えば、「まるで出来の良過ぎるCGのような」巨大な津波が横一線
となって白い波を立て、堤防を舐めるように越えては陸地に次々と侵入した。そして、
超強力なブルドーザーが横に並んで突っ走っているかのように、信じられない破壊力
を以って大型ビル以外のほとんどの物をなぎ倒して進んでいく様を、ただただ力なく
見守るしかなかった。


 被災された方への援助をどのように行い続けていくかは、きっと非被災地住民であ
る私達の多くが抱えた課題であるに違いない。お祝い事の自粛だけではいけない、直
接駆けつけてのボランティアもなかなか叶わない。募金だけはかなり頑張ったが、他
にどんな形で援助を続けていこうか?僕だけでなく、みんなきっと悩んでいるに違い
ない。
 
 そうこうしながら、3月の終わりに、僕は海に戻ることを決めた。さらに言えば、
震災直後に、悩んだ挙句、前回登場した新進女優TKさんの舞台千秋楽にも駆けつけた。
自分の好きなことは多少やりながら、援助の道を模索していくことにしたのだ。


 被災された方には不謹慎で申し訳ないが、それが僕が執るべき道のように思える。