しんのじの夏〜2014年 その1

 ある敬愛する友人から、このブログを楽しみにしているとエールを頂戴
したので、やっと取れたささやかな夏休みの締めに、1年近くぶりの振り返
りをしようと思います。

 この10カ月ほどは、僕にとってあまりに濃い時間でした。一番大きかっ
た、一番辛かったことは、何といっても期せずして大切な部下を失った事。
色々あって詳しい事は申せませんが、この歳でこんなに涙が出るものかと
思ったものです。失意の日々を過ごしました。その後、様々な出来事があ
ったり、仕事がますます忙しくなったりで、文字通り、心を失ったままで
(「忙」のりっしんべんは「心」を表しますので)毎日を過ごしてきたと
言えるのですが、徐々に悲しみは癒えてくるものなのですね。

 少しずつですが、夏前頃から料理がしたくなってきました。やはり料理
作りがストレス解消となる僕です。まず作ったのは、頂き物のマカダミア
ナッツがたくさん余ったのでミルサーで挽いてペースト状にし、鶏モモ肉
を丸一枚ずつ使ったバターチキンカレーでした。通常はカシューナッツ
ペーストでコクを出すのですが、マカダミアナッツは更に丸味とコクが楽
しめる感じがして、なかなか良かったように思いました。

 次は、牛スジの煮込み。ネット上で敬愛するある方からのリクエストで
久々に作りました。僕の煮込みは大体ぶつ切りの根菜と旨い牛スジ、それ
に赤メインの合わせ味噌がポイント。昆布ダシもしっかり効かせます。ア
フィリエイトは大嫌いですが、個人的に大好きなものは堂々と宣言しても
良いかなと思うので、宣伝にならぬ程度に軽くご紹介しますか(笑)。

 牛(に限らず肉類全般)の煮込みにピッタリ合う、単品でも絶妙な味を
出してくれる味噌は、甲府の極太煮込み麺料理「ほうとう」の名店、「小
作」オリジナルの味噌。少々送料が高いですが、それを出しても惜しくな
いほどバランスと力強さ、そして煮込んでも消えないしっかりとした香り。
素晴らしい製品です。また、牛スジは京都のグルメハウスヨシダというお
店から取り寄せています。ここのは特定の銘柄にこだわらない和牛のかな
り良いスジ(スジというより「落とし」に近い)で、旨い脂もたっぷり残
して丁寧に仕事してある感じが窺えます。とにかく、激安で旨いし、甘い。
これに、根菜のうち牛蒡は水に晒さず風味を最大限残して炊き合わせる。

 所望された彼に送って差し上げると、牛蒡を水に晒してなかったことを
鋭くご指摘下さり、喜んでいただきました。その後、唸るほどの夏野菜と
海の幸を頂戴し、恐縮した次第です。

 最近作ったのは、夏場の僕の定番、ラタトゥイユ。茄子、人参、オクラ、
玉ねぎ、トマトなどをニンニクと少量のオリーブ油で炒め煮にする。忘れ
てはならないのはベイリーフ。清涼感が素敵です。お好みで唐辛子も是非
入れたいところ。野菜だけでこれだけ濃いダシが出るのかという楽しさで
す。もちろん、肉を加えてもいいですし、ひよこ豆など入れてカレーに仕
立てても旨かったです。要は、いろんな料理のベースになる万能煮込みで
すね。冷製パスタもいいです。ラ・カステッリーナ社のトマト水煮缶は、
フレッシュな甘いトマトがなかなか入手出来ない時でも抜群の旨味が出せ、
お勧めです。ネットでまとめて買えばさほど高くありません。イタリアが
誇るサン・マルツァーノ種にかなり近い種類なためか、煮込むと旨さが引
き立ち、他のトマト缶と全然違います。

 食べ物の話になると、途端に流暢になってしまう自分がうらめしい(汗)。
この夏は異常なほど雨がちで、最近は広島で大変な豪雨禍が起きたばかり
ですが、夏は夏ですので、水分と栄養にとりわけ注意が必要ですね。そろ
そろ夏バテしてきたと思った時の朝ご飯代わりには、バナナ入りミルクセ
ーキ(卵、牛乳、粗製糖、バナナ)をよく作ります。ミキサーで20秒なの
で、朝でも何とか準備出来ます。飲むと元気が出るのがすぐわかります。
本当なら、刺身のヅケと漬け物(特に酸っぱいのや茄子など)で冷やし茶
漬けを食べるのもいいけど、今は準備不足で諦めるばかりです。

 あと、サースト・クエンチャー(脱水時の喉の渇きを癒やす飲み物)と
して僕が今、特にお勧めするのは、キリン・ソルティ&ライチ(ライチ果
汁10%入り)をベースに、レモン果汁を少し加え、美味しい水で少し割って、
氷を数個浮かべたもの。結構旨いし、体に滲み込む感じがいいです。